知らないと損する、ここだけの話~介護とお金~

損保ジャパン日本興亜が全国の20~69歳の男女に介護に関するアンケート調査をインターネットで実施、4月15日に結果が発表された。
◆過去3年以内に親あるいは配偶者の介護経験があり、現在は介護を終えた1,539名。

気になる結果だが
介護期間平均は約3 年7 ヶ月(43.1 ヶ月間)
・介護開始時に掛かった初期費用平均は98.1 万円、介護開始以降の月額介護費用平均は12.7 万円
・介護費用総額平均は787 万円
となっている。

 

https://www.sjnk.co.jp/~/media/SJNK/files/news/2019/20190415_1.pdf

介護期間の平均に関しては、別のデータもある。

公益財団生命保険文化センターが発表している4年7か月というのもある。

http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/4.html

さらに、私がお世話になっている首都圏の有料介護施設の入居者300人は、入居されてからお亡くなりになるまでが7年という平均データもある。

何が正しいというのではなく、あくまでもアンケートに答えた方の属性(介護スタート時の認定度合い、在宅か、施設入所か、年齢など)によって違う話だということを認識することだと思う。

いつもお伝えしていることだが、介護は個人差が大きい。
介護を初めて半年から1年以内でお亡くなりになる方もいらっしゃれば、20年ぐらい介護を続けている方も。
人の命は神のみぞ知るため、先のことは誰にも分らない。

ただ、介護は長期化する場合もあることを理解していないと、精神的・金銭的に取り返しのつかない後悔を生むことがある。
先の介護データが、あなたの家庭のケースに当てはまるわけではない。

 特に経済的な問題は、本人だけではなく、親族にも影響を及ぼす。
そのためには、短期的と長期的ビジョンの双方から考えていくことが大事だ。

 でも、当事者は当初は目の前のことに追われ、冷静な判断をしているつもりでも、課題が抜け落ちたままになるケースもある。

 ある地方の入居施設に入っていた方は、毎月の入居費は約5万円だった。諸費用を含む、総トータルが13万円ぐらいだったが
今後を考え、首都圏に住む親族の近くにある”首都圏では平均的な介護施設”にうつった。

 専門家である私たちに相談に来られた時には首都圏の施設は決めていた後で、親御さんの保有資産では介護状態が10年続いた場合、経済的に難しくなるとは話していた。
だが、判断能力に問題がない親には、譲れない希望があった。

 弊社団では、親やお子様の心理相談や経済面のアフターフォローを定期的にしている。

もちろん、弁護士や税理士やFPなどが一堂に会して、経過報告をうかがう。
あるお客様の3か月後フォローの際に「毎月、介護施設の費用が20万円、もろもろの諸費用を合わせると30万円。年金からの支払いとなると赤字が毎月23万円づつ発生している」と。

 私たちが最初にお伝えはしていたが、その時は目の前のことで頭がいっぱいで、毎月23万円の赤字になって初めて、実感がわいたのだと思う。

年間276万円の赤字の解決対策としては、特養の検討と申し込みを早急にしてもらうことにした。
 ただ、首都圏の特養は、1施設で500人から800人のところも珍しくない。
いくら介護度合いが高いといっても、年単位での待機になる。
 余談だが、こうしたことから、定年後の子供の中には、地方の特養は2から3か月待ちのところもあるので、親子で地方に移転して、子供が田舎暮らしを経験する方もいる。
こうした考え方も、一つだと思う。

 話を戻す。
 大きな問題で言えば、実家の売却、それに伴う家財や庭木の処分、さらには墓じまいとやらなければならないことが山積みに残っている。
高額の出費は、まだ続く。
同時に、手付かずでいる実家不動産の売却で収支の改善を図ることにした。このケースはまだ売却できる不動産があったから、何とかなる。

介護問題は相談事例1例づつちがうし、利用者さんが判断能力があるかどうかでも対策が大きく変わる。こうした相談業務を通じて、親族だけで介護をしながらやるのは、限界があると痛感している。
不動産売却のタイミング、手続きの際に注意すべき法的・税務・経済的ポイントは、専門家でないと実務のことはわからない。

 アフターフォローを通して、最初は、泣きそうな顔で同じことを10回ぐらい繰り返し聞かれていたお客様も、次第に飲み込みも早くなってこられた印象を受ける。
「そのうち、アドバイザーになれますよ」というぐらい、
知識も深まってこられたし、長期的展望という概念も生まれてこられたように思う。

 弊社団は、相談の一つに精神的に寄り添うことも非常に重要だと考えているが、私たち専門家とお客様の絆が、お会いするたびに深まっていくことをうれしく思っている。

 介護は期間もお金もかかる場合がある。
それだけに、一人や家族だけで抱えることのないようにと心から願っている。

 どうぞ、今日もケガもなく、健康で、笑顔に包まれますようにとお祈りしながら。