知らないと損する、ここだけの話~老後2000万問題で金融現場で起こっていること

老後2,000万問題がマスコミを賑わしている。

実際、老後にいくら必要なのか。
はっきり言って、東京都千代田区・港区・中央区と私の実家のような無人駅とではかかる生活費などは大きく違う。北海道と沖縄とも、これまた違ってくる。

高齢になったら医療問題もある。
東京都中央区は救急車で運ばれるのは、入院となると全室個室で有名な聖路加病院だ。
ただ、原則、患者を引き受けてくださるのは、本当にありがたい。

一方、無人駅の地区の実家は、病院数も当然少なく、救急時にはたらい回しを覚悟しなければならないが、費用は聖路加とは比較にならない。

老後2,000万円は元気な時の家計のようで、介護を念頭に置かれていないように思える。
介護状態になった場合、介護施設か、自宅かによっても違うが、介護施設費用は、首都圏では介護施設関連だけでも、1ヶ月お一人15万円から20万円はかかるし、雑費などを考慮すると+5から10万円の上乗せを頭に入れておく必要がある。

暮らしぶりはそれぞれだが、老後や介護期間をいつまでにするのかというのは、参考にしたいデータがある。

前にも書いたが、今、日本人が一番多く亡くなっているのは女性は92歳、男性は86歳だ。
今後の医療事情などを考えると、人生100年というのは、決して大げさな話しではない。

私の両親や高齢の方の家計簿を拝見すると一月15万円で生活されている方が多いように思う。
単純に15万円の生活費で100歳までくらすなら、(100歳-65歳)×12× 15万=6300万円の生活費となる。

年金は本当に一人一人違うため、社会保険事務所で確認して、

月の生活費を15万円としてご自身の差額を出していただきたい。

しかし、もっと注意すべきは介護になるとたちまち状況は一変することだ。
介護費用は結構、高額になる。
介護期間は4年という生命保険文化センターのデータもあるが、私が首都圏の介護施設に入居されている300人の平均期間は7年だった。
首都圏の一般的な介護費用だけで1ヶ月20万円(雑費など除く)20×12×7年として計算すれば1,680万円となる。

さらにもっと注意したいのは、ご夫婦の年金合計で算出していないだろうか。

今の高齢者の奥様が一人残された場合の年金月額は7万から11万がメインゾーンだ。
夫婦の時は何とかなったが、妻一人だとたちまちにして困窮するという方も珍しくない。

さて、老後2,000万円なんで、「何を言っているんだ」と思うお気持ちは尊重するとして、
意外にも金融現場は大忙しの状態になっている。
なぜなら、「そのうち何かしないとと漠然と思っていたけど、これを機に検討したい」「第二の人生の働き方を凄く考えるようになった」という方が増えているからだ。

金融商品の検討の前に、何はさておき、していただきたいことは、将来受け取るであろう年金額を調べることだ。
ねんきん定期便を見ていないという方も多いので、近くの社会保険事務所に問い合わせていただくことをオススメしたい。

同時に、どんな仕事があるか、どんな生きがいを持つかも模索していただければと思う。

ある60代目前の女性は、健康とお金儲けの一石二鳥を兼ねて、パートにいくことになった。
その際、「定年がない仕事」を第一に探すことをはじめた。
タイミング良く、週に3回勤務する病院の売店の仕事が見つかったという。
身体が慣れたら、さらに週に2回ぐらいのパートも探したいと話していた。

また別のご夫婦は、介護になった時のことを親権に考えるようになったという。
地方の敷地の広い自宅は、高齢になると管理しきれないし、遠く首都圏に住む子供も戻ってくることはないので、元気なうちに首都圏の小さなマンションに引っ越そうと話し合ったという。
いい友人に恵まれているが、介護になれば。世話になるのは子供だと思うからと話した。

さらに別の男性は、預貯金も年金も少ない親と一緒に地方に住むことも検討したという。

親はそれで幸せなのかという議論には、共倒れをする可能性とのバランスも考慮していただければと思う。

老後2000万円問題は、お金だけではなく、自分の生き方、家族との関わりを考えるいい機会になった方も少なくないことも、また事実だ。