知らないと損するここだけの話~相談先を間違えない

先日、ある方が相談に来られた。
資産家の一人暮らしの高齢親族Aさんが、甥となるBさんとCさんに遺産を残す遺言書を書いた。
Bさんはかねてから親族の世話をするとAさんとBさんに伝え、ともに異論がなかった。
ところが、遺言書を書いたとたん、Bさんはそれまでせっせと面倒を見ていたAさんの世話をあまりしなくなった。
あろうことか、Aさんには変わらず面倒を見るといいながら、Cさんに「これからはAさんの面倒や葬儀など、すべてあなたが見てください」と言ってきた。
さらにある日、Aさんから「Bから『思いたくないが、入院や葬儀など、何かあることを考えて、まとまったお金を預かっておきたい』と申し出があった」ことを聞く。

Cさんの性格は極めておとなしく、反論ができないタイプで、Bさんから、こんなことを言われたといえる性格ではなかった。

Aさんはやがて足がおぼつかなくなり、意識はしっかりしているが、一人で暮らすには限界が来ていた。
施設選びや手続きをすべてCさんがすることになり、Cさんの自宅近くに入居後も毎週Cさんが面会に行った。

Aさんはそんな状態でも、最後はBがすべてやってくれていると信じて疑わないようだった。

次第にCさんは「お金ではないが、私は何だろう」と悩むようになった。
Aさんは何億もの資産をなした資産家で、Cさんには1,000万円程度の土地を譲るだけで、他はBさんに相続させる遺言書を書き、二人を呼んで伝えていた。

Cさんは割り切れない自分を責めるようになり、悩みぬいた挙句、地域包括センターに相談に行った。

地域包括センターは介護保険制度全般や介護施設の紹介などを行うが、法律や税務・不動産やお金・相続・親族間のトラブルは門外漢だ。

それなのに、その地域のスタッフは「ここは遺産は直系の長男が相続して、世話は女性がするものと昔から決まっている」と答えた。

余計に追い詰められたCさんは、ふさぎ込むようになり、顔を見るのがつらいからとAさんを訪問する回数も減ってしまった。

地域包括センターの方が、門外漢のことに口出しし、さらにどうして完全に間違ったことを伝えたのか分からない。

入居先の介護施設スタッフのアドバイスがなければ、いつまでもCさんは悶々とし続けることだろう。

Aさんに面談して意思能力を弁護士や医師に見極めてもらう必要があるが、遺言書は書き直せる。

ただ、相続税の申告期間は決まっているが、異議申し立てに期限はない。
だから、母親が没後20年経過しても争う親族もいる。

そうならないように、弊社団ではオリジナルのツールを使ってもらい、話し合いを重ねている。

相続トラブルを避けるためには、
◆相談先を間違えないこと
◆些細なことでも専門家(Cさんの場合、不動産・金融資産があるので弁護士・税理士・金融総合FP・カウンセラー)に相談する
◆相談したら、行動にうつす
ことが3大原則となる。

のちに争いごとになっても選択肢は非常に限られ、溝はさらに深まってしまう

何事も気楽に早めの相談をすることが大切だと痛感している