知らないと損する、ここだけの話~外貨建て保険 トラブル報道のその後~
高齢者の方が加入した外貨建て保険で、「貯金と知らなかった」「損すると知らなかった」と、消費者センターなどに寄せられるトラブルが増えていると、先般、報道があった。
この報道に関するその後の報道がなされていないこと、高齢者の資産はお子様や親族に関係するので、その後についてお伝えしたい。
こうしたクレームの対応の流れをざっくりと紹介する。
まず、国民センターであれ、消費生活センターであれ、保険に関するトラブルは保険会社に戻される。
銀行で加入しているものもだ。
保険会社は双方からヒアリングを行う。「言った・言わない」
ではなく、意向把握確認書や、外貨建ての契約時には、保険会社が契約者本人に電話で確認を入れたり、親族の同席を求めたり、その後、無作為に保険会社から確認の連絡がいく。
こうした書類や対応、募集人の日報も確認しながら、契約者の方にも話を伺う。
当初はトラブルであっても、和解になっているものも実は相当数ある。
それでも納得がいかない場合は、ADRの案件となる。各生命保険会社が加入している生命保険協会にADRの部門はあるものの、まったく業界寄りではない。この理由は後に記載する。
ここでもダメなら、裁判となるのが一連の流れだ。
実は保険会社に寄せられたクレームや対応は、すべて協会と監督官庁である金融庁に報告している。
一般の方はまったくご存じないが、保険商品はすべて金融庁の認可がなければ発売できない。
契約時の書類もすべて金融庁の認可が必要だ。募集やAFTERフォローに関することも、法律で制定されている。
クレームの件数や主な事例、対応・課題は年に2回開催される「金融トラブル連絡協議会」で報告される。
「金融トラブル連絡協議会」に出席される委員は、金融庁を肇とする各省庁関係者、日本を代表する金融関係の学者・弁護士、消費者団体の方だ。
一般の方は出席できず、キャパの関係で報道関係者も記者クラブ以外に業界紙の記者の10人程度だ。
幸いにも私は取材できたので、是非、皆様に知っていただきたいことがあるので、共有させていただく。
誤解をしていただくと困るが、クレーム案件の全部が全部、業界の対応のまずさだけではなかったということだ。
個人情報の関係で詳細はお伝えできないが、ざっくりと話すと、銀行で保険を契約しても保険と思わず、メインが預金で、+死亡保険がついていると思っていらっしゃる場合もあるということだ。
私が知る限り、そうした商品はないように思う。
また、その後、保険会社から連絡があっても、契約先が銀行なので、保険会社は関係ないと思われた事例も、実際にある。だ。
もちろん、業界関係者の説明のまずさは、あってはならないことだが、誤解を解くために、金融機関や保険関係者の一層の努力が求められる事は間違いない。
説明文書も文字だけではなく、漫画冊子ややイラスト、DVDなど、複合的なツールの作成も必要になってくるだろうし、さらに、「一・二度言ったから説明は良し」とするのではなく、何度も何度も何度も説明を繰り返す必要もあるのだと思う。
外貨や変動制商品に馴染みの無い方の契約も、引き受けには慎重になっていくと思う。
一方では、あまりこうした制限がかかると、必要な人に必要な保障の情報が届かないことも懸念する。
勝手な言い分かもしれないが、保険関係者には引き続き、お客様目線に立った対応の遵守を徹底お願いするとともに、金融機関や保険会社だけでは限界があることも否めない。
お客様の大切な資産だけに、お子様やご親族もご理解をいただき、親御さんとお話の時間を持っていただけることもお願いできたらと願う。
幅広い情報や商品の中から、お客様のニーズやリスクにマッチした最適の商品選びができ、輝く未来となることをお祈りしています。