知らないと損する、ここだけの話~介護は豆腐あきた~

 先日、保険業界新聞の「新日本保険新聞」に執筆した記事をもとに、書き直しました。
お役に立てば何よりです。

 要介護度は、要支援1から要介護5までに区分されています。「要支援」より「要介護」のほうが、介護度が重く、また「要介護1」と「要介護5」なら数字が大きくなるにつれて、介護度は重くなります。

##要介護度別の身体状態の目安
出典;生命保険文化センター



度 身体の状態(例)


援 1 要介護状態とは認められないが、社会的支援を必要とする状態
食事や排泄などはほとんどひとりでできるが、立ち上がりや片足での立位保持などの動作に何らかの支えを必要とすることがある。入浴や掃除など、日常生活の一部に見守りや手助けが必要な場合がある。
2 生活の一部について部分的に介護を必要とする状態
食事や排泄はほとんどひとりでできるが、ときどき介助が必要な場合がある。立ち上がりや歩行などに不安定さが見られることが多い。問題行動や理解の低下が見られることがある。この状態に該当する人のうち、適切な介護予防サービスの利用により、状態の維持や、改善が見込まれる人については要支援2と認定される。


護 1
2 軽度の介護を必要とする状態
食事や排泄に何らかの介助を必要とすることがある。立ち上がりや片足での立位保持、歩行などに何らかの支えが必要。衣服の着脱はなんとかできる。物忘れや直前の行動の理解の一部に低下がみられることがある。
3 中等度の介護を必要とする状態
食事や排泄に一部介助が必要。立ち上がりや片足での立位保持などがひとりでできない。入浴や衣服の着脱などに全面的な介助が必要。いくつかの問題行動や理解の低下がみられることがある。
4 重度の介護を必要とする状態
食事にときどき介助が必要で、排泄、入浴、衣服の着脱には全面的な介助が必要。立ち上がりや両足での立位保持がひとりではほとんどできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
5 最重度の介護を必要とする状態
食事や排泄がひとりでできないなど、日常生活を遂行する能力は著しく低下している。歩行や両足での立位保持はほとんどできない。意思の伝達がほとんどできない場合が多い。
公的介護保険の給付
公的介護保険の給付は、要介護認定を受けた利用者が「1割または2割、3割」の利用料を支払うことで、「現物給付」による介護サービスを受けることができます。

 でも、表で説明されても、一般の人には、ものすごい分かりにくいですよね?
中には、それぞれの介護度区分を暗記されている方もいます。
個人的には、一般の方が介護度を理解されるのは、ざっくりとイメージをつかんでもらうだけでいいと思っています。大切なことは介護度を理解することではなく、介護保険の利用者さんおひとりに向き合うことだと思うからです。

足元がおぼつかない方もいますし、足はしっかりしていても、認知症の方もいらっしゃるので、介護をされている方を見て、この方は介護度がこれぐらいとは分かりません。
実際、護認定は、一人一人の身体状態+医師の判断を総合して行政が審査会を開催して判断するため、一見、同じような症状でも違う認定結果ができることも珍しくないからです。

 さて、話を戻します。表を見ていただくと、要支援1から要介護5まで共通する“あること”にお気づきでしょうか?

 実は、それは“歩行=歩く”です。要支援1では、立ち上がりや片足歩行に何らかの介助が必要になることから始まって、要介護5は、歩行がほとんどできない状態と、次第に歩行が困難になっていくことが分かるかと思います。つまり、介護は“歩く”がベースなんですね。

 一般の方に要介護度の状態を説明するときに、私がお話しするのは「介護はと・ふ・あ・き・た=豆腐あきたと覚えてください」と。

 “と・ふ・あ・き・た”の“と”はトイレ、“ふ”は風呂、“あ”は歩く、“き”は着る、“た”は食べるの頭文字をとっています。

一般の方に説明するときは、各度合の一覧表もお話ししながら、「介護の初期は“あ”だけだったのが、次第に“あ”プラス“と”“ふ”“き”“た”の何か一つプラスになり、次第に二つ・三つと増えていく。要介護5ともなれば、と・ふ・あ・き・た”全てに介護が必要な状態となる。要介護3程度で、車いすも必要になるイメージと覚えていただければ」と話すと、非常に理解していただけるようです。
頭の片隅に覚えていただくと幸いです。

と・・・といれ
ふ・・・風呂
あ・・・歩く
き・・・着る
た・・・食べる